山の資源の循環を考えなおす時。私は、大きな資源循環を視野にいれ、山の生業(なりわい)を、地域の経済に位置づける必要があると考えています。

2001年の世界湖沼会議(滋賀)のとき、仲間と湖沼会議市民ネットを立ち上げ、森と地域をつなぐ、「湖童(こどう)プロジェクト」を県内の各地で行いました。その後も、湖と森をつなぐ様々な事業や活動を続けています。

「湖童」では、「滋賀の森の木々」でクラベス(ラテン音楽で使う打楽器)をつくり、みんなの心をひとつにする道具としました。思いを形にすることが大切だと考えたからです。2年にわたる「湖童」のムーブメントは、草津や今津の共同作業所、自衛隊の皆さん、緑の少年団、町民マラソン、成安造形大のメンバー、他大学生、朽木いきものふれあいの里、西の湖で活動される方々、環境教育に携わるメンバー、自治体職員など、大勢の参加をえて、多くの方々と森に向きあいました.

“おまえら人間は、山をどうするつもりじゃあ!”
手づくりのマイ・クラベスをもって集まった“湖童音楽祭”では、この森の天狗さまの怒りの声に応えるため、「琵琶湖の葦」を束ねたメッセージツリーへたくさんの「願いのカード」を挟み、「祈りの火」をともしました。この祈りを無駄にできないという思いを、今も強く持っています。

その後、私の活動は、“気づきとしての湖童”から“生業(なりわい)としての造林や、林業”に移っています。山の整備を担っている森林組合の方々や、営林部の方々と話しをする機会もでき、「いまの状況は、施業費のうちおばちゃんのバイト代でも出れば助かる」といった実情を聞きながら、「滋賀県材の産地認証」の取り組みや、「滋賀の森林によるCO2吸収量認定の試行」を始めるなど、少しでも有効に、山にお金がかえる方法が生まれるよう日々活動を続けています。

“おまえら人間は、山をどうするつもりじゃあ!”天狗さまの声は、
大きな負債を背負った滋賀県、滋賀県民(国民全員)に大きく響きます。何とか応えなければいけない、そんな気持ちを持つ人に問われているのは、本気で山・自然をほったらかしにしない、資源循環を基本とした生活の道を創ろうとすることではないでしょうか。

(2008-1110 /2011-0420一部修正)